ギャラリー

特別展示3号室 回游するクジラたち

この特別展示室ではEF200の全21機をお見せしたい。地元の稲沢線および東海道本線を、まるで大きなクジラが回游するかのように行き来する姿の記録である。初期展示は2017年12月末現在の稼働機と在籍機の計10機とし、既に廃車となってしまった残り11機を順次追加展示して在りし日の勇姿を偲びたい。 (2017.12.25記)                                                              EF200は我が国電機史上最強の機関車である。定格出力は6000kwと、パイパワー機と称されたEF66を遥かに凌駕する。 1600t貨物を牽引して東海道・山陽本線を疾駆することを期待されて登場したものの鉄道貨物輸送量は伸び悩んだ。 出力をEF66と同等まで制限されたまま運用され2019年3月末をもって運用離脱した。 本来の定格出力6000kwは世界レベルの高出力であり、日本の線路規格と設備が強化されてさえいれば2000tでも軽く牽引できるだけのポテンシャルがあったはずである。 JR貨物が並々ならぬ意欲をもって平成の世に送り出したこの機関車が、その本来の性能を発揮することなく引退してしまったことは機関車ファンとして無念の至りである。 この機関車はかつて「ノラ」とか「平成のマンモス」とか呼ばれていた。「ノラ」とは「野良」のことなのか、貨物機らしく薄汚れたような外観から付けられたのだろうか。「マンモス」とは絶滅した種の名前で現役のカマに対して失礼ではないか。どちらも機関車ファンなら口にしたくなるような呼称ではない。そう思っていた頃、地元の稲沢線でEF200が次位にEF66-100を従える編成をよく見かけた。サメを従える大きな機関車ならクジラであろうと、勝手に呼び名を付けたのがこの「クジラ」である。 平成に生まれ平成を走り抜いたクジラは平成とともにひっそりと鉄路を去った。檜舞台に立つこともなかったが、間違いなく電気機関車史に刻まれることになる巨人機であった。その後ろ姿に熱い手を振って見送ってやりたいと思う。(2019.4.1追記)